2026年6月10日(水)~6月12日(金)、幕張メッセで開催された「デジタルサイネージジャパン(DSJ)2026」を視察してきました。昨年は、弊社マーケティング部の佐藤がセッションに登壇したこともあり当事者としてリポートをしてもらいましたが、今年は筆者がセッションを聴講してきた中で、とりわけ印象的だった以下4つのセッションについてレポートを共有いたします(Speaker等の肩書はイベントHP掲載のものを引用)。
●”見せられる”サイネージから“認められる”サイネージへ
~LED普及時代に問われる景観・規制・業界の責任~Speaker
(一社)デジタルサイネージコンソーシアム常務理事・江口靖二氏
(株)ジェイアール東日本企画デジタルサイネージ推進センター調査役・山本孝氏
<内容>
LEDサイネージの普及によって街にデジタルサイネージが増加している状況の中で、法整備や法令順守への理解が不足しているように感じることもある。道頓堀における広告看板の火災のように、この先の発展に影響を与えかねない事案も起こっており、デジタルサイネージコンソーシアムとしても看過できない状況だと考えている。今後のためにも改めて屋外広告におけるガイドラインの策定など進めたい。
<筆者感想>
普及と発展のプロセスに起こりがちなトラブルにしっかりと向き合うデジタルサイネージコンソーシアムの姿勢に感服。デジタルサイネージが増える=存在感が増す=社会的責任が増す、という認識は大切だと感じた。だからこそ、法令違反事例や事故が発生してしまうと、真面目にルールを守っている事業者までもが被害を受けることになりかねないという警笛はその通りだと思う。こうした事態を起こさないためには、個社がそれぞれで気を付けるだけでなく、業界団体としてガイドラインなど何らかの指針・啓蒙を進めるというのは重要だと考える。
●OOHメジャメントは“構想”から“実現”へPanelist
(株)OOHメディア・ソリューション業務推進3部・小山隼平氏
(株)東急エージェンシー事業共創本部東急OOHメディア事業局事業戦略部 兼 第2メディア部 /(一社)日本OOHメジャメント協会(JOAA)運営ワーキンググループ・髙畠 治氏
(株)博報堂DYホールディングスマーケティング・テクノロジー・センター研究3グループ /(一社)日本OOHメジャメント協会(JOAA)技術ワーキンググループ
サブリーダー・名雲王治郎氏
Moderator
(株)NKBマーケティング部部長 /(一社)日本OOHメジャメント協会(JOAA)
運営ワーキンググループ 兼 広報ワーキンググループサブリーダー・波多野友美氏
<内容>
昨年弊社佐藤が登壇した、(一社)日本OOHメジャメント協会としてのセッション。データ検証途上ということもあり、昨年のおさらいを行いつつ、データ実装に向けた期待を対談形式にて繰り広げる。
<筆者感想>
昨年に引き続き会場がほぼ満席となり注目度の高さがうかがえた。データ検証へ想定以上に時間を要しており、公開が予定よりも遅れているが、変わらぬ期待感とデータ公開を待ち望む空気を感じた。当社も設立時社員として、一歩でも前に進めるべく取り組んでいるが、こうした業界各社が集うイベントでの広報施策は重要だと再認識した。
●「デジタル予算」を呼び込む、OOHの新・販売戦略
~OOHメジャメントの標準化が、プログラマティックOOHの普及を加速させる~Speaker
(株)LIVE BOARDクライアントサービス部リーダー・山本 栞氏
(株)LIVE BOARDクライアントサービス部・新里隆成氏
Moderator
(株)LIVE BOARDストラテジー部広報・鏡詩織氏
<内容>
(株)LIVE BOARDにより、新たなる取り組み紹介を兼ねたセッション。なお、昨年ヘラルボニーと取り組んだ世界自閉症デーに関するアートプロジェクトが、デジタルサイネージアワード優秀賞を受賞したことも紹介された。
<筆者感想>
江口氏・山本氏のセッションでも出てきたが、街という公共空間にあるデジタルサイネージの「社会的責任」という考え方が、1つのトレンドキーワードのように感じた。とりわけこの数年のDOOHをけん引するような企業が先駆的な取り組みを進めていることに尊敬の念を抱く。
●デジタル化・メジャメント時代のOOH広告の価値Panelist
(株)ジェイアール東日本企画メディアソリューション本部デジタルサイネージ事業局次長 兼 開発業務部長・五十嵐稔氏
(株)東急エージェンシー事業共創本部東急OOHメディア事業局事業戦略部 兼 第3メディア部エグゼクティブプロデューサー・由井永幸氏
(株)大阪メトロ アドエラCMO 兼 OOH事業本部長・松浦裕之氏
Moderator
(一社)デジタルサイネージコンソーシアム顧問・吉田勝広氏
<内容>
鉄道においてもデジタルサイネージの存在感が増している、という現状から、今後の考え方について話が広げられた。産学連携による公共性の研究や、施設開発の段階から媒体開発を協業する動きなど、媒体社の内側で今何が起こっているのかを垣間見ることができた。駅に媒体を付けることが単なる増設を意味するのではなく、空間作りや街づくりに昇華されていると感じた。
<筆者感想>
グループアセットとの連携を深めて街の再開発を行ったり、新駅の誕生に合わせた商業施設開発で街づくりを行ったり、「広告」というフィールドに留まらない取り組みの紹介はとても魅力的であった。
もはや「交通広告」や「駅メディア」という発想は古くなりつつあるかもしれない。そして、本セッションでも登壇者から「公共性の高い空間にあるからこそ、受け入れられるために社会的責任を果たしていく必要がある」というコメントが語られていた。
<まとめ>
先日、公益社団法人日本広告審査機構(JARO)の総会に出席したのだが、2025年度のクレーム件数が史上最多だったという報告があった。メディア別にみると、最も件数が多いのはインターネット広告であったが、社会全体が広告に対して厳しい視線を突き付けていることを感じた。
OOHはコロナ禍以降、媒体の開発増加やデジタル化、メジャメントなど明るい話題も増えているが、良いことばかりに目を向けていると生活者から“嫌われる広告”になりかねない。そうしたことへの潜在的な危機感が、自然と「OOHの社会的責任」という発想に繋がっているのかもしれない。イベントの特性上、新しいテクノロジー紹介などを期待して訪問した部分もあったが、期せずしてOOHは公共空間にある、という原点回帰のような思考に気づかされた。
当社では、OOH媒体のデータだけでなく、交通機関・人の移動に関するデータから交通広告・屋外広告を検証しています。様々な切り口でデータ分析することで、広告主様に最適なプランニングをご提供しています。少しでも興味をお持ちいただいた方は遠慮なくお問合せフォームからご連絡くださいませ。



